
前回までで3Dキャラクターをモデリングし、マテリアルの設定とアーマチュア(骨組み)の設定をしていきました。
> その1. モデリング編
>その2. マテリアル編
>その3. リギング編
今回は完結編として、出来上がった3Dキャラを動かしてカメラで撮影し、レンダリング(書き出し)までやっていこうと思いますので最後までお付き合いください。
まずアニメーションを動かす前に、前回の「リギング編」で出来上がったアーマチュア(骨組み)にひとつ付け加えたいものがあります。それは「IK(インバースキネマティクス)」の設定です。
上の画像のボーン(骨)の中で、黄色く表示されているのがIKを設定したボーンです。かかとと手首から後ろ向きに出ているボーンはIKのコントローラーになります。
「IK」とはなにかというと、例えば私たちが机の上のカップを持とうとする時、肩→腕→手首→指…と順番に動かすわけではありませんね。指先でカップを持とうとすれば自然に手首や腕が付いてきます。
そのように「ボーンの動きを逆算してコントロールする仕組み」を「IK」といいます。
それとは逆に肩→腕→手首→指…と根元の方から動かしていくのを「FK(フォワードキネマティクス)」と言います。
今回はウェッパくんに歩かせようと思っているので、手や足の先端だけ動かせばあとのボーンが勝手に付いてくるようにしました。
ウェッパくんの手首とかかとにIKを設定することによって、コントローラーを動かすだけで自然に肘や膝が曲がるように設定した、というわけです。
次に、表情の切り替えをアニメーションしていきます。まずはデフォルトの顔を含め、4つの表情の画像を準備します。ファイル名を連番にするのがポイントです。

この画像を連番で切り替えてアニメーションさせることができます。

あとは各ボーンやコントローラーにキーフレームを打って、自由に動かしていきます。今回は歩きながら表情を変える180フレームのアニメーションにしたいと思います。

動きが決まったら撮影の準備です。カメラで撮影するステップを踏むことで、やっと3Dキャラの制作データが動画データになります。
まず「背景」「カメラ」「ライト」をセットし、カメラビューを見ながらアングルや光の強弱を調整していきます。

今回はカメラは1カ所に固定していますが、カメラ自体を回転させたり被写体に近づけたりも自由自在なので、カメラワーク次第で迫力ある動画もでます。
設定が完了したら、いざレンダリング(書き出し)です!
表情が豊かで若干情緒不安定なウェッパくんが完成しました。(笑)
以上で「Blenderでキャラクターを3Dに!」完結です!いかがでしたでしょうか?
超特急で簡単な手順だけ紹介してきましたが、2Dから3Dキャラクターを作るざっくりとした流れは知っていただけたのではないでしょうか? 2Dでもかわいかったキャラクターが、生命を吹き込まれたように生き生きとするのは3Dの醍醐味ですね!
実際にADPUBの制作事例でも、3Dキャラクターを動画に使用したものがあるのでぜひご覧ください。
■ 3DCGのキャラクターを使用した動画事例

またBlenderは無料とは思えないような高性能な機能が詰まっており、今回ご紹介したキャラクターのアニメーションは数ある機能のうちのほんの一部です。
CADデータを元に製品をフォトリアルな3Dにして、ドラマチックに撮影するという使い方もできます。
■ 製品を3DCG化した動画事例

3Dイラストやフォトリアルなど、グラフィックの表現を無限に広げてくれるBlender。 アドパブでは、カタログなどの印刷物やWeb、動画などで活用しています!
