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展示会ブース

2025.7.30

展示会で人が集まらない理由とは?
成果につなげるBtoBブース改善の鉄則

成果につなげるBtoBブース改善の鉄則

こんにちは。今回は、「展示会に出展したけれど、ほとんど人が来なかった」「名刺が集まらず、社内で反省会ばかり…」といった悩みを抱えるBtoB企業の皆さまに向けて、今回は展示ブースの“失敗の原因”と“改善の方法”について詳しく解説します。

せっかく費用と労力をかけて出展しても、ただブースを設置しただけでは成果は出ません。実際に、来場者の足を止め、名刺を交換し、見込み客になってもらうためには、「見せ方」「構造」「体験設計」のすべてがかみ合っている必要があります。

本記事では、来場者が素通りするブースの共通点から始まり、成果を出すブースの設計法、実践すべきリデザインの原則と、すぐに使える改善チェックリストを体系的にご紹介します。




来場者が素通りするブースの「3つの共通点」


展示会で「人が集まらない」「名刺が集まらない」「ほとんど話もできなかった」——そんな苦い経験をした企業は少なくありません。実は、そのようなブースには、いくつかの“共通点”があります。

来場者の目線で見たとき、どんなブースがスルーされ、なぜ立ち止まってもらえないのか。その理由は大きく3つに集約されます。


1. メッセージが伝わっていない
来場者は展示会の会場を歩きながら、短時間で「このブースに立ち寄るべきか」を判断します。こうした前提に対し、「何をしている会社なのか」「誰のどんな課題を解決できるのか」が一目で伝わらないブースが非常に多いのです。

会社名や製品名だけが目立っていて、肝心の“価値提案”が見えない。そんな状態では、見込み客の関心を引くことはできません。展示会では、「誰に・何を提供できるのか」を一言で伝えるキャッチコピーと、視認性の高いビジュアルが必須です。


2. 人が入りにくいブース構造になっている
もうひとつの共通点は、「近づきにくさ」。通路に対して入り口が狭かったり、テーブルやパネルが導線を遮っていたりすると、来場者は「なんとなく入りづらい」と感じて離れてしまいます。

展示会では“気軽に立ち寄れる雰囲気”が重要です。通路側からスムーズに入れる構造かどうか、立ち止まりやすい空間設計がなされているか。これだけでも集客力は大きく変わります。


3. 立ち止まる“仕掛け”がない
通りすがりの来場者を引き寄せるには、“動き”“体験”がカギです。ただ製品やパネル、カタログを並べただけのブースは、周囲の派手なブースに埋もれてしまいます。

動画やモニターを使った動的なコンテンツ、実物の展示や操作体験など、「お、何か面白そう」と感じさせる“仕掛け”が必要です。人は視覚と好奇心に反応します。どんな小さな仕掛けでも、立ち止まるきっかけになるのです。


▼ポイントまとめ
“価値提案”が短時間で伝わるキャッチコピーを用意する
通路から入りやすく、滞在しやすい空間に設計する
視覚的な動きや体験型コンテンツで足を止めてもらう

行列ができるブース02



成果が出ていないのに、なぜ改善しないのか?


定期的に展示会に出展しているのに、「毎回満足できる成果が出ない」というケースは少なくありません。実は、その原因の多くは“出展前”の準備段階にあります。

なぜ、来場者に響かなかった出展が繰り返されるのか?その背景には、企業特有の「組織内事情」と「誤った前提」が潜んでいます。


1. 成果の検証が不十分で、前年踏襲が常態化している
展示会出展が“ルーティン”になっている企業ほど、「去年と同じでいいよ」「とりあえず出ればOK」という空気が蔓延しがちです。

しかし、展示会は毎回、市場環境が変化する“生きたマーケティング現場”です。過去の出展成果や失敗を検証せず、前年と同じ構成・レイアウト・販促物で臨んでいるのなら?それは現状維持ではなく「機会損失」です。


2. デザインを単に「見た目の改善」と捉えている
「ブースデザイン=装飾」と思っていませんか? これは多くの企業が陥る罠です。

展示ブースにおけるデザインは、単なる装飾ではなく、「メッセージの伝達手段」であり、「コミュニケーション設計そのもの」です。

どこに、何を配置すれば来場者がどう動くのか?視線と導線の設計によって成果は大きく変わります。単純な見た目の良し悪しではなく、“戦略的なコミュニケーション設計”が問われているのです。


3. 社内調整に時間がかかり、準備が間に合わない
「出展の方針が決まったのが直前」「複数部門の合意形成に時間がかかった」──こうした声は決して少なくありません。

しかし、限られた準備期間では、成果を出せるブースは作れません。見せ方の精度を上げたり、魅せるコンテンツを制作したりするには時間が必要です。「どうせ間に合わないから……」というあきらめが、ブースの質を決定づけてしまうのです。


▼ポイントまとめ
展示会ごとに成果を分析し、データをもとに改善する
デザインを“コミュニケーション設計”として捉える
早期の社内合意と十分な準備期間が、成否を分けるカギ

行列ができるブース03



成果が出るブースには“見せ方”の工夫がある


「展示会は出展するだけで意味がある」と考えられていた時代は、もう終わりました。今は“必ず成果が出る出展”が求められる時代です。では、実際に成果を上げているBtoBブースは何が違うのでしょうか?

ポイントは「見せ方」です。デザインや演出を“来場者目線”で工夫することで、ブースの集客力と商談率は大きく変わります。ここでは、成果を上げた企業が実践している3つの“見せ方の鉄則”を紹介します。


1. 通路側からの「視認性」に徹底的にこだわる
成果の出るブースは、通路を歩く来場者の“目線”を意識しています。

どこから来場者の視線が来るかを意識し、遠くからでも「何をしている会社なのか」が視覚的に伝わるよう、ロゴの高さ、キャッチコピーの配置、映像モニターの角度にまで気を配っています。

また、視線が集まる位置にインパクトのあるグラフィックや動きのある映像を設置することで、遠目からでも「おっ?」と注意を引くことが可能になります。


2. キャッチコピー+商品コンセプトが一体化している
人の目を引くのは“ビジュアル”ですが、心を動かすのは“言葉”です。

成果の出るブースでは、「誰に向けて、どんな課題を、どう解決するか」が明確なキャッチコピーで打ち出されています。そして、そのメッセージと展示物やデモ内容がしっかりとリンクしています。

「展示内容とコピーがバラバラ」「自社目線で製品の特徴を並べている」状態では、来場者の記憶に残ることは難しいのです。


3. 来場者の行動を“体験型”でデザインしている
成果を出すブースは、ただの“展示空間”ではなく、来場者に「体験させる空間」として設計されています。

たとえば、実機操作ができるワークスペース、デモンストレーションのライブ配信、動画を交えた導入事例の紹介など。見る・触れる・聞くといった複数の感覚を通じて、「これは自分たちにも使える」と思わせる構成がされているのです。

かつては、製品とパネルを並べただけの展示ブースで、来場者の滞在時間が平均30秒程度だった状態が、集客コピーを見直し、体験スペースと相談コーナーを設け、製品解説動画をブース内に配置することで、平均滞在時間が3分以上に増え、名刺獲得数も2倍以上になったケースもあります。


▼ポイントまとめ
視認性の高い配置・高さ・動きで「まず目に止まる」設計を
伝えたいメッセージと展示内容を一貫させる
体験・参加・会話を促す仕組みで「自分ゴト化」を誘導

行列ができるブース04


実践すべき「リデザイン3原則」


展示会で成果を出すブースには、見た目の美しさや奇抜な装飾以上に、“考え抜かれた導線”があります。成果を狙うためのリデザインには、理にかなった「原則」が存在します。

ここでは、経験豊富な展示会デザイナーが実践する「ブースリデザインの3つの原則」をご紹介します。


1. キャッチ・構造・導線を同時に設計する
「デザインは最後に」という考え方は、展示会においては致命的です。キャッチコピーだけを先に決めて、レイアウトはあとから……というやり方では、情報の伝わり方に“ズレ”が生じます。以下の3要素は“セット”で考えるべきです。

・通路からどう見えるか(キャッチ)
・来場者の目線がどう動くか(構造)
・どの順番で何を見せたいか(導線)

この3つが噛み合ってこそ、ブースは“伝える空間”になります。


2. 出展目的から逆算して空間を設計する
「とにかく名刺を集めたいのか?」「商談につながる案件を掘り起こしたいのか?」——目的が違えば、ブースの“最適解”も変わります。

プロは、出展目的に応じて「スペース配分」「導線の引き方」「接客ポジション」までを逆算して設計します。名刺獲得が目的なら、回転率を重視したレイアウト。商談を狙うなら、滞在時間を伸ばす接客スペースを重視するなど、目的によって優先順位を変えるのです。


3. ブースだけでなく、関連ツールも“連動設計”する
展示ブース単体で完結させては、集客効果は限定的です。パンフレット、動画、Webサイト、接客マニュアル──すべてが一貫して「伝えたい価値」が連動するよう設計されてこそ、商談率が高まります。

ブースでは言えない情報をパンフレットで補足し、興味をもった来場者をWebサイトや動画に誘導する。これが、“会期後も効果を発揮するブース”の条件です。


▼ポイントまとめ
キャッチ・構造・導線を「別々に考えない」ことが重要
出展の目的から逆算したブース設計が成果のカギ
パンフ・動画・Webも連動する「一体型設計」が理想

行列ができるブース05



明日からできる!展示会ブース改善チェックリスト


以上、「人が集まらないブース」の共通点と、成果が出るブースの設計ポイントについてご紹介しました。最後に、展示会を成功に導くための“チェックリスト”をお届けします。

自社のブースを振り返り、明日からできる改善のヒントとしてお使いください。


1. メッセージ伝達チェック
・通路から見たときに「何の会社か」が短時間で伝わるか?
・ターゲットとなる来場者に対し、課題と解決策が伝わるキャッチコピーになっているか?
伝わらない場合は、キャッチコピーの再設計・視認性の改善が必要。


2. 通路導線チェック(角地 or 並列か)
・ブースは角地か、通路の間に挟まれた中間か?
・人の流れに対して開かれた導線設計になっているか?
角地なら「コーナー柱」で注目を集め、中間地なら「側面壁サイン」や「体験エリア」で関心を引く工夫が効果的です。


3. “止まる仕掛け”チェック
・動画モニター、実物展示、操作体験など、来場者が足を止めたくなる要素があるか?
・「なんだろう?」と気になる“動き”や“体験”を提供できているか?
“立ち止まる理由”があるかを第三者目線で確認。


4. 提案ストーリーの構築チェック
・ブース内で「課題提起→解決策の提示→導入メリットの理解」というストーリーが組み立てられているか?
・展示物の順番や配置が、提案の流れになっているか?
見せる順番を逆にするだけで、印象が大きく変わることも。


5. スタッフ行動設計チェック
・接客スタッフの立ち位置・導線・アプローチが設計されているか?
・パンフの渡し方、名刺交換のタイミング、Web誘導の流れは共有されているか?
ブースがいくら良くても、スタッフのアプローチがバラバラでは成果は出ません。


▼ポイントまとめ
短時間で伝わるメッセージ設計を最優先に
出展場所に応じた導線戦略をとる
「立ち止まる理由」「見せる順番」「スタッフのアプローチ」を戦略的に決めることが成果につながる。

行列ができるブース06



まとめ:展示会ブースの成果は「設計」で決まる。


展示会で成果を上げられるかどうかは、偶然ではなく“戦略設計”にかかっています。

来場者に素通りされるブースには、「メッセージが伝わらない」「入りにくい」「足を止めたくなる仕掛けがない」という共通点があり、その多くは事前準備の段階で防ぐことが可能です。

一方、成果を上げるブースには明確な法則があります。視認性を高め、キャッチコピーと展示内容を一貫させ、体験を通じて“記憶に残す”工夫がなされているのです。

そして、その設計はブース単体ではなく、パンフレットや動画、Webサイトなども連動して設計されることで、展示会後の成果にもつながります。

「今年も同じようなブースでいいか……」と考えている企業なら?今こそ見直すべきタイミングです。まずはチェックリストを使って、自社の出展設計にどんな“改善の余地”があるか、ぜひ検証してみてください。

展示会は、企業の価値を伝える貴重な舞台です。戦略次第で、成果は確実に変わります。

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  • 「わたしたちは60年にわたりメーカーを支援してきた、愛知県名古屋市のデザイン会社です」

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