
こんにちは。デザイン会社の業務は大きく2つに区分されるのですが、それは何か?ご存じでしょうか?
1つ目は「BtoC」の業務です。消費者が直接購入する商品・サービスを提供しているクライアントの広告宣伝・販促を制作する業務で、クライアントのマーケティング戦略に即したデザインを行う場合と、自社でマーケティングからコンセプト立案、アウトプットとなるデザインまで一体で提案を行うケースがあります。
2つ目は、「BtoB」の業務です。製造業など、商品やサービスを提供する相手が「個人ではなく企業」であるクライアントの広告宣伝・販促を制作します。特に専門性の高い業種では、ターゲットとなる企業とのタッチポイントがごく少ない!ので、BtoCとは全く異なる戦略をとる必要があります。
今回は、デザインにおける BtoBとBtoC業務の基本的な違いについて、お伝えしたいと思います。
BtoBとBtoC、マーケティングの違いを整理
デザインには戦略となるコンセプトが必要で、この基になるのが「マーケティング」です。企業向けのBtoBマーケティングと消費者向けのBtoCマーケティングでは、顧客の行動や意思決定プロセスが大きく異なります。もし、BtoB向けの戦略をBtoC市場にそのまま適用したら? 期待する成果は絶対に得られません。
例えば、BtoB市場では一度の取引額が大きく、長期的な関係構築が重要視されます。
一方、BtoCでは個人の購買行動が、感情やブランドイメージに大きく影響されるため、広告やSNSを駆使して短期的に成果を挙げるマーケティングが効果を発揮します。
本記事では、BtoBとBtoCマーケティングの違いを整理し、それぞれの成功の鍵となる「QCDF」と「4P」のフレームワークについて詳しく解説します。
BtoBとBtoC、それぞれのターゲットとマーケティング戦略の違い

1. ターゲット層
BtoB:企業の意思決定者(経営者、購買担当者、技術者など)
BtoC:個人消費者
2. 購買プロセス
BtoB:検討期間が長く、複数の関係者が関与(理論的・合理的な判断)
BtoC:比較的短期間で、個人の感情や衝動が影響
3. プロモーションチャネル
BtoB:展示会、セミナー、ウェビナー、ホワイトペーパー、LinkedIn、業界専門誌
BtoC:テレビCM、SNS広告、インフルエンサーマーケティング、ECサイト
4. コミュニケーション手法
BtoB:論理的で専門的な情報提供(事例紹介・技術資料・データ重視)
BtoC:感情に訴え、ブランドストーリーや体験価値を訴求
5. 価格と価値の伝え方
BtoB:コスト削減、ROI(投資対効果)、長期的な関係構築
BtoC:価格の手頃さ、利便性、ライフスタイルへの適合
6. ブランドの構築
BtoB:信頼性・実績・専門性の強調(ケーススタディや顧客の声を活用)
BtoC:感情に訴えるブランディング(ビジュアル・ストーリー性重視)
7. セールスアプローチ
BtoB:ダイレクトセールス(営業担当との関係構築が重要)
BtoC:マス向けのプロモーション(キャンペーンや割引施策)
BtoBマーケティングとは? 「QCDF」で理解する企業向け戦略
BtoBマーケティングとは、企業や法人をターゲットにしたマーケティング手法です。消費者向けとは異なり、企業の中に複数の購買決定者がいるケースが多く、論理的な判断が重視されます。例えば、企業がソフトウェアを導入する際、IT部門、経営陣、財務部門など複数の担当者が関与し、ROI(投資対効果)が大きな決定要因になります。

1. Quality(品質):製品・サービスの性能や信頼性
例1:工場向けの機械設備は耐久性が求められるため、高品質な部品と長期保証が重視される。
例2:医療機器メーカーは厳格な品質基準を満たし、国際認証を取得することで病院との契約を獲得する。
例3:BtoB向けソフトウェアでは、システムの安定性やカスタマイズ性が品質の重要な要素となる。
2. Cost(コスト):導入コストだけでなく、運用、メンテナンスを含めた総費用
例1:ERPシステムの導入では、初期投資だけでなく、年間のライセンス費用や保守費用も考慮される。
例2:企業向けクラウドストレージは、利用量に応じた従量課金制を採用し、無駄なコストを抑える。
例3:製造業の部品調達では、単価だけでなく輸送費や関税も含めた総コストで比較検討される。
3. Delivery(納期):供給の安定性とスピード
例1:製造業では、Just In Time(JIT)方式での納品が求められるため、安定供給できるかが重要。
例2:建設業向けの資材供給では、工期に遅れが出ないよう迅速な配送が求められる。
例3:EC企業向けの物流システムでは、短納期対応が競争優位性を生む要因となる。
4. Flexibility(柔軟性):カスタマイズ性や対応力
例1:企業向けクラウドサービスでは、利用企業ごとにカスタマイズできるかが導入の決め手になる。
例2:BtoB向け印刷会社は、小ロット対応やデザイン変更の柔軟性が求められる。
例3:法人向けの研修サービスでは、企業のニーズに応じたカリキュラムの調整が必要になる。
BtoCマーケティングとは? 「4P」で理解する消費者向け戦略
BtoCマーケティングは、一般消費者を対象としたマーケティング手法です。消費者の購買行動は、直感的・感情的な要素に影響されるため、4P(製品・価格・流通・プロモーション)のフレームワークが有効です。現在ではマーケティングも進化して「5P分析」などが推奨されていますが、まずは「P分析」で理解したほうが良いでしょう。

1. Product(製品):ターゲットに合った商品開発
例1:若年層向けのスマートフォンはデザインやカメラ性能が重視される。
例2:オーガニック食品ブランドは健康志向の消費者向けに無添加・低農薬をアピール。
例3:ゲームアプリでは、無料プレイと課金要素を組み合わせたモデルが主流。
2. Price(価格):市場や競争に基づいた適切な価格設定
例1:ファストファッションブランドでは低価格戦略、高級ブランドではプレミアムプライシングを採用。
例2:サブスクリプションサービスは、月額制や無料トライアルを活用。
例3:スーパーマーケットでは、特売日やポイント還元キャンペーンを実施。
3. Place(流通):オンライン・オフラインでの販売チャネル戦略
例1:D2C(Direct to Consumer)ブランドが増加し、自社ECサイトのみで販売するケースも多い。
例2:コンビニとのコラボ商品を展開し、消費者の手に届きやすくする。
例3:Amazonや楽天市場を活用したオンライン販売戦略。
4. Promotion(プロモーション):広告、SNS、インフルエンサーマーケティング
例1:InstagramやTikTokでのプロモーションが10代・20代の消費者に影響を与える。
例2:テレビCMやYouTube広告を活用し、ブランドの認知度を向上。
例3:映画やドラマとタイアップし、話題性を活かしたマーケティング。
違いを理解して、マーケティング戦略を最適化しよう!

このようにBtoBとBtoCマーケティングの基本的な違いを理解することで、デザインにおいても、より効果的なコンセプトを立案することができます。
• プロモーション手法も大きく異なるため、適切な戦略を採用することが重要
• BtoBは論理的・合理的な判断が重要(QCDFを活用)
• BtoCは情緒的・直感的な購買行動が多い(4Pを活用)
マーケティング戦略を見直し、自社のターゲットに適した手法を取り入れることで、デザインにおいても競争力を高め、成果を最大化しましょう。