
こんにちは。「DX推進スキル標準」という言葉を聞いたことがありますか?
何それって思う方もいるでしょうが、私も最近知りました。2025年は様々なことが変わる年になりそうです。
現在、多くの企業や組織は進化するデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや経営戦略、業務プロセス、顧客体験などを変革し、新たな価値を創造するDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を注いでいます。
そうした取り組みを推進するうえでは、製品・サービスのあり方を、ビジネス視点とユーザー視点の両側面で総合的にとらえることが重要で、そのための新たな人材が必要になってきているのです。
その中には、これまでとは異なる人材類型の「デザイナー」の存在があります。
ここでは、経済産業省が策定した「DX推進スキル標準」における「デザイナー」について、その役割や必要なスキル、他の人材類型との関わりを解説します。
従来のグラフィックデザイナーやWebデザイナーの役割は、見た目やブランドイメージの構築が主でしたが、「DX推進スキル標準」においては、生成AIの活用を主体とした、新たなデジタルスキルの習得が求められます。
従来のデザイナーの役割
グラフィックデザイナー
ロゴや広告、印刷物など、視覚的にブランドを伝えるデザインを担当。
Webデザイナー
Webサイトやデジタル媒体のレイアウト、ユーザビリティ、SEOを重視したデザインを制作。

DX時代のデザイナーの役割
DXが進む時代において、デザイナーにもこれまで以上に、生成AIの活用を主体としたデジタルスキルの習得が求められます。
1. サービスデザイナー
サービスデザイナーは社会や顧客・ユーザーの課題や行動を徹底的に分析し、そこから新たな価値提案を導き出します。もはやマーケティングの領域ですが、デザイナーはマーケッターとしてのナレッジは元々持ち合わせていませんし、習得には長い時間を要するので、生成AIを活用して以下の役割を果たします。
課題発見 : ユーザーインタビューやデータ分析を通じて、顧客や市場が抱える課題を明確化。
価値提案 : 発見した課題を解決するための製品・サービスの方向性を策定。
仕組みづくり : 新しいサービスが持続可能でスケーラブルな形で運用されるためのシステムやプロセスを設計。
2. UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、製品やサービスのユーザー体験を設計します。従来もこうした役割のデザイナーは存在していましたが、「DX推進スキル標準」以降は生成AIも活用して、より顧客にとって使いやすく、魅力的な体験を提供することが使命です。
情報設計 : ユーザーが直感的に情報を理解し、利用できるように構造を設計。
インタラクションデザイン : ボタンの配置や動き、スクロールの挙動など、利用体験を快適にする細部への配慮。
プロトタイピング : 実際に動作するモデルを作成し、ユーザーの反応をテストして改善。
3. グラフィックデザイナーの進化
DX時代のグラフィックデザイナーは、従来デザイナーの感覚に頼っていた「わかりやすさ」「訴求力の強さ」「統一性の高さ」といった指標を、生成AIを活用してロジカルに処理。デジタルスキルの活用により、高次元のデザインを創出します。
データビジュアライゼーション : 複雑なデータをわかりやすく視覚化。
デジタルブランド構築 : 一貫性のあるブランドイメージをデジタル領域全体で展開。
多媒体対応 : 静止画だけでなく、動画やインタラクティブなコンテンツのデザインも担当。
4. 他の専門職との連携
DX時代のデザイナーは生成AIの活用だけでなく、他のデジタル部門の専門家と協業することで、より幅広いナレッジを収集して実務に活かします。
ビジネスアーキテクトとの連携 : ビジネスモデルの設計や実現可能性の確認。
データサイエンティストとの協働 : データに基づいたデザイン改善や新機能の提案。
ソフトウェアエンジニアとの連携 : デザインの実装とテクノロジーの統合。
サイバーセキュリティとの連携 : 価値提供とセキュリティ対策のバランスを保持。

これまでのデザイナーと何が違うのか?
DX時代のデザイナーは、「価値創出のプロフェッショナル」としてビジネス全体に深く関わります。
従来のデザイナーが視覚的な「デザイン」を創出するフィールドだけで制作に注力していたのに対し、DXにおける「デザイナー」は、主にAIを活用することで「ビジネスアーキテクト」「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」と協力し、課題解決に貢献します。
最終的なアウトプットに責任を持って取り組む姿勢は同じでも、よりビジネス全体に対して関わり、制作物以外の結果にもコミットすることになります。
必要となるスキルは、従来のデザインスキルはもちろんのこと、「企業戦略・マネジメント」「マーケティング」「UI/UX」「デザイン倫理」「サイバーセキュリティ」など、多岐にわたる分野の理解が求められます。
しかし、それらのスキルを全て備えた「スーパーデザイナー」は存在しません。生成AIを活用することで、1人のデザイナーでは不可能な、広範かつ高度な領域のナレッジを少ない負荷で処理し、デザインとしてアウトプットすることを可能にするのが「DX推進スキル標準デザイナー」の真価となります。

まとめ
これからのデザイナーは、見た目をデザインするだけではなく、顧客やユーザーの課題を解決する「価値」をデザインする存在へと進化しています。
昨今のDX時代の波に乗るためには、デザイナー自身も生成AIを主体とした、新たなデジタルスキルを身につけることが重要です。
この記事が、あなたのビジネスのお役に立てれば幸いです。